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保険代理店の将来性

結論

保険代理店はすぐになくなる仕事ではありません。ただし、これからは選ばれる代理店だけが残りやすい時代です。

ネット保険やオンライン相談は広がっていますが、家族構成・住宅ローン・事業リスクまで踏まえて相談したいニーズは残っています。 未経験から始めるなら、将来性そのものよりも、研修・集客・比較提案・コンプライアンス支援がある環境を選べるかが大きな分かれ道になります。

代理店数は減少 生命保険・損害保険ともに、代理店数は減少傾向
相談ニーズは残る ネットだけでは判断しにくい保障設計には相談価値がある
未経験も可能 ただし、資格・登録・実務フォローの確認が必要

保険代理店は今後なくなる?
なくなるより「選別される」と考えたほうが現実的

保険代理店がすぐになくなるとは考えにくいです。ただし、代理店の数はすでに減っています。 生命保険協会の「生命保険の動向 2025年版」によると、2024年度の法人代理店数は3万1,339店で9年連続の減少、個人代理店数は4万3,959店で10年連続の減少となっています。代理店使用人数も91万4,233名で、7年連続で減少しています。

損害保険でも同じ傾向があります。日本損害保険協会の資料では、損保代理店数は2015年度の20万2,148店から、2024年度には14万138店まで減少しています。2024年度は前年比7.0%減です。

生命保険・法人代理店 9年連続減少
生命保険・個人代理店 10年連続減少
損保代理店数 14万138店
2024年度前年比 7.0%減

ここだけを見ると、「やっぱり保険代理店は厳しいのでは」と感じるかもしれません。 ただし、代理店数が減っていることと、保険の需要が同じペースで減っていることは別です。

日本損害保険協会の資料では、損保代理店数は2015年度から2024年度にかけて減少している一方、火災保険・自動車保険・傷害保険の扱保険料は、2015年度の6兆4,578億8,000万円から、2024年度には7兆410億7,800万円へ増えています。

ただし、扱保険料が増えているからといって、代理店の収入がそのまま増えているとは限りません。 扱保険料は代理店が取り扱った保険料の規模を示すもので、代理店の利益や手取り収入とは別です。

それでも、代理店数の減少と同じペースで取扱が縮小しているわけではない、ということは読み取れます。 保険代理店業界は「代理店なら誰でも安定する」時代ではなく、選ばれる代理店と、そうでない代理店に分かれる時代に入っていると考えたほうがよいでしょう。

保険ニーズは残っているが、
中身は変わっている

保険ニーズそのものは消えていない

生命保険協会によると、2024年度末の個人保険の保有契約件数は1億9,530万件で、17年連続で増加しています。保有契約の年換算保険料も28.2兆円となっています。

求められる保障の中身が変わっている

一方で、個人保険の保有契約高は778兆9,902億円で、前年度比98.5%と減少しています。 死亡保障を大きく持つ保険から、医療保障やがん保障などを重視する保険へ、ニーズが変化していると考えられます。

つまり、「保険ニーズが消えている」と見るのは正確ではありません。 ただし、昔と同じように大きな死亡保障を提案すればよい時代でもありません。

病気、けが、がん、介護、老後資金、住まい、自動車、事業上のリスクなど、顧客が備えたい不安は多様化しています。 だからこそ、これからの保険代理店には、商品を売る力だけでなく、相手の状況を聞き取り、必要な保障を整理する力が求められます。

ネット保険が広がっても、人に相談したいニーズは残る

「ネットで保険に入れるなら、代理店はいらないのでは」と思う人もいるでしょう。 たしかに、ネット保険や通信販売は今後も広がっていくはずです。特に、保険料を比較しやすい商品や、保障内容がシンプルな商品は、オンラインで検討する人が増えています。

生命保険文化センターの2024年度「生命保険に関する全国実態調査」でも、単身世帯では加入意向のあるチャネルとして「通信販売」が35.2%で最も多くなっています。

一方で、すべての人がネットだけで保険を選びたいわけではありません。同じ調査では、2人以上世帯で加入意向のあるチャネルとして最も多いのは「生命保険会社の営業職員」で、27.3%です。また、直近加入契約の加入チャネルで最も多いのは、2人以上世帯・単身世帯ともに「生命保険会社の営業職員」とされています。

このデータは「保険代理店そのもの」の利用率を示しているわけではありません。 ただ、人に相談して保険に入りたいニーズが残っていることは読み取れます。

情報収集はネット

保険料や基本的な保障内容は、ユーザー自身がオンラインで比較しやすくなっています。

最後の判断は相談

家族構成、収入、住宅ローン、事業状況まで踏まえると、ネットだけでは判断しにくい場面があります。

代理店の価値は整理力

一般的な説明ではなく、顧客が納得して選べるように支援する力が求められます。

これから相談価値が出やすい保険分野

  • 家族構成や住宅ローンが関わる生命保険
  • 保障内容や給付条件の違いを比較しにくい医療保険・がん保険・介護保険
  • 補償範囲、特約、事故時対応まで見て選ぶ必要がある火災保険・自動車保険
  • 事業用の保険、賠償責任、従業員の保障、設備や店舗リスクを整理する法人・個人事業主向け保険
  • 複数の保険に入っている人の保障重複や不足を確認する見直し相談

もちろん、こうした分野なら必ず代理店が有利、というわけではありません。 顧客にとって納得できる説明ができるか、比較の根拠を示せるか、契約後もフォローできるかが問われます。

複数社の商品を扱う代理店の存在感は大きい

保険代理店には、大きく分けて「専属代理店」と「乗合代理店」があります。 専属代理店は、基本的にひとつの保険会社の商品を扱う代理店です。 一方、乗合代理店は複数の保険会社の商品を取り扱います。

日本損害保険協会の2024年度データを見ると、損保では乗合代理店は代理店数の23.6%です。 一方で、扱保険料では70.6%を占めています。

保険の資料を見ながら説明を受ける様子
種類 特徴 未経験者が見るべきポイント
専属代理店 ひとつの保険会社の商品を中心に扱う。商品理解を深めやすい一方、提案できる商品は限定されやすい。 扱う商品の範囲、研修内容、営業支援、既存顧客への提案方法を確認する。
乗合代理店 複数の保険会社の商品を扱う。顧客の状況に合わせた比較提案がしやすい。 比較説明や推奨理由の説明がより重要。商品数だけでなく、コンプライアンス支援を確認する。

ただし、このデータだけで「比較提案できる代理店が必ず強い」と断定するのは少し言いすぎです。 扱保険料の大きさには、法人代理店の規模、顧客基盤、取扱種目、地域性など、さまざまな要因が関係します。

それでも、複数社の商品を扱う代理店の存在感が大きいことは事実です。 そして、複数の商品を扱うほど、比較説明や推奨理由の説明が重要になります。

金融庁の資料でも、保険募集では顧客ニーズの把握、ニーズに合った保険プランの具体化、顧客が判断するために必要な情報提供が求められています。 複数保険会社の商品を比較推奨販売する場合には、比較可能な商品の一覧や、特定の商品を提示・推奨する理由などの説明も求められます。

未経験から保険代理店を目指すなら、単に「多くの商品を扱えるか」だけでなく、比較提案を正しく行うための研修やチェック体制があるかを確認することが大切です。

保険代理店の将来性を左右する4つの変化

代理店の統合・大型化が進んでいる

代理店数が減っている背景には、小規模代理店の高齢化、後継者不足、事業承継の難しさがあります。 代理店同士の統合や、大手代理店への集約が進みやすくなっており、従来のように個人の人脈や営業力だけで始める難易度は上がっています。

だからこそ、研修、集客、顧客管理、コンプライアンス支援がある環境を選ぶ意味が大きくなります。

オンライン相談・DX対応が必要になっている

資料請求、オンライン面談、Web予約、チャット、顧客管理システムなど、保険代理店にもデジタル対応が求められるようになりました。 忙しい人や遠方の顧客にとっては、オンラインで相談できるほうが便利です。

これから保険代理店を始めるなら、営業力だけでなく、オンライン相談の導線や顧客管理の仕組みが整っているかも確認したいところです。

顧客本位・コンプライアンス対応がより重要になっている

保険は、顧客の生活や将来に深く関わる商品です。そのため、売れればよいという仕事ではありません。 意向把握、比較説明、情報提供、顧客管理、個人情報管理まで学べる環境を選ぶ必要があります。

説明不足や不適切な提案は、顧客との関係だけでなく事業の継続にも影響する可能性があります。

売って終わりではなく、契約後のフォローが重視されている

結婚、出産、住宅購入、転職、独立、子どもの進学、親の介護など、ライフステージが変われば必要な保障も変わります。 事業者であれば、従業員の増減、設備投資、店舗展開、取引先の変化によって必要な保険が変わることもあります。

定期的に連絡を取り、状況の変化を聞き、必要に応じて見直しを提案する。この積み重ねが、継続率や紹介につながります。

未経験から保険代理店を目指す人にチャンスはある?

未経験からでも、保険代理店を目指すことはできます。 ただし、保険募集を行うには、保険募集人として登録される必要があります。

生命保険協会の資料でも、生命保険の募集は、保険業法に基づき生命保険募集人の登録が義務付けられた営業職員、募集代理店、代理店で募集に従事する使用人などによって行われるとされています。

つまり、保険に詳しくなればすぐに自由に販売できる、というものではありません。 必要な資格、登録、所属先や委託関係、取り扱う保険会社との関係などを確認する必要があります。

活かしやすい経験

  • 営業経験
  • 接客経験
  • 店舗運営経験
  • 法人顧客との折衝経験
  • 士業・不動産・美容・整体などでの顧客対応経験

注意したい考え方

  • 未経験でも簡単に稼げると考える
  • 商品知識だけ覚えれば売れると考える
  • 知人への営業だけで長く続けられると考える
  • コンプライアンスを軽く見る

未経験者にとって大切なのは、保険代理店という仕事に将来性があるかどうかだけでなく、 自分がその仕事を続けられる環境を選べるかどうかです。

保険代理店の収入は安定する?
未経験者が確認すべき収入モデル

保険代理店を検討するとき、多くの人が気になるのが収入です。 ただ、保険代理店の収入は会社員の固定給とは違い、契約件数や契約内容、手数料率、継続率、所属先との条件によって大きく変わります。

フランチャイズや代理店制度を利用する場合も、収入モデルは本部や契約内容によって異なります。 未経験者は、収入例だけを見て判断しないほうがいいでしょう。

初年度から安定収入を期待しすぎない

知識を学ぶ時間、顧客との接点をつくる時間、提案に慣れる時間が必要です。 副業や兼業で始めるのか、専業で始めるのかによっても、立ち上がりの難易度は変わります。

新規手数料と継続手数料の違いを確認する

初年度に多く受け取れるのか、継続的に受け取れるのか、どのタイミングで支払われるのかを確認しましょう。 解約・失効時の戻入や返還条件も重要です。

集客支援があるかで立ち上がりの難易度が変わる

「集客支援あり」と書かれていても、問い合わせ紹介なのか、広告素材提供なのか、営業ノウハウ提供なのかで意味が変わります。

固定費を回収できる見込みを考える

加盟金、研修費、システム利用料、月額費用、店舗費、広告費などがある場合、黒字化までに必要な契約数も増えます。

未経験者が失敗しやすい始め方

商品知識だけで始めてしまう

商品を覚えれば売れるわけではありません。 顧客が本当に困っていること、今の保障の不足、保険料と保障内容のバランスを聞き取り、整理する力が求められます。

集客方法が決まっていない

知人に声をかけるだけでは、いずれ限界が来ます。 紹介、Web集客、既存事業との連携、地域での接点づくりなど、自分に合った見込み客づくりが必要です。

手数料だけで選んでしまう

研修、集客支援、顧客管理システム、コンプライアンス体制、取り扱える商品、契約後のフォロー体制が弱ければ、長く続けるのが難しくなります。

コンプライアンス支援が弱い環境を選んでしまう

保険募集では、顧客の意向把握や情報提供、比較説明などが求められます。 未経験者ほど、ルールを守って長く活動できる環境かを確認しましょう。

保険代理店フランチャイズという始め方はどんな人に向いている?

未経験から保険代理店を目指す場合、完全に一人で独立する以外にも、保険会社の代理店制度や、保険代理店フランチャイズに加盟する方法があります。

保険代理店フランチャイズは、本部のブランドや仕組み、研修、営業ノウハウなどを活用しながら代理店として活動する方法です。 すべてを自分で用意するより、未経験者でも始めやすい場合があります。

ただし、フランチャイズなら必ず安心、というわけではありません。 支援範囲や費用、手数料、集客方法、コンプライアンス体制は、本部によって大きく異なります。

検討しやすい人

  • 研修や営業ノウハウを借りながら始めたい人
  • 独立に近い働き方をしたいものの、完全な一人立ちは不安な人
  • 複数の商品を比較提案できる環境で働きたい人
  • 集客や見込み客づくりに不安がある人

保険代理店フランチャイズで失敗しないための確認事項

保険代理店フランチャイズを選ぶときは、知名度や手数料だけで判断しないことが大切です。 未経験者ほど、費用・支援内容・契約条件・責任範囲を丁寧に確認しましょう。

取扱保険会社・商品数 生命保険だけなのか、損害保険も扱えるのか。比較提案しやすい体制か。
研修・資格取得・登録のサポート 資格取得、募集人登録、提案書作成、契約手続き、保全対応まで学べるか。
本部から紹介される見込み客の有無 紹介数、紹介条件、対応エリア、成約率の目安、費用負担を確認する。
加盟金・月額費用・システム利用料 初期費用だけでなく、月額費用や広告費まで含めて見る。
手数料の還元率と支払タイミング 新規手数料、継続手数料、解約・失効時の返還条件を確認する。
ノルマや最低活動条件 副業・兼業で始める場合、自分の活動時間で条件を満たせるか。
契約終了時の顧客・手数料の扱い 顧客情報、継続手数料、既存契約の保全を誰が行うか。
コンプライアンス違反時の責任範囲 説明不足、手続きミス、顧客トラブル時の責任範囲と相談窓口を確認する。

保険代理店に向いている人・向いていない人

向いている人

  • 人の話を聞くのが苦にならない人
  • 相手の状況を丁寧に整理できる人
  • コツコツ関係を続けられる人
  • 契約後のフォローを大切にできる人

向きにくい人

  • すぐに大きく稼ぎたい人
  • 細かいルールを守るのが苦手な人
  • 説明の正確さや手続きの丁寧さを軽く見てしまう人
  • 自由に働けるイメージだけで始めたい人

保険代理店の将来性に関するよくある質問

保険代理店は今後なくなりますか?

すぐになくなるとは考えにくいです。ただし、代理店数は減少しており、昔ながらの営業だけで続けるのは難しくなっています。 今後は、顧客の意向を正しく把握し、必要な情報を提供し、契約後もフォローできる代理店が選ばれやすくなるでしょう。

未経験でも保険代理店として働けますか?

未経験でも目指せます。ただし、保険募集を行うには、必要な資格取得や募集人登録などが関わります。 商品知識、顧客対応、コンプライアンス、集客など、学ぶことも多くあります。

ネット保険が増えても代理店は必要ですか?

必要とされる場面は残ります。保障内容がシンプルな商品はネットで選ぶ人が増える一方、家族構成や収入、住宅ローン、事業リスクなどを踏まえた相談は、人に聞きたいというニーズがあります。

専属代理店と乗合代理店はどちらがよいですか?

どちらがよいかは、働き方や提案スタイルによって変わります。 ひとつの保険会社の商品を深く扱いたいなら専属代理店、複数の商品を比較しながら提案したいなら乗合代理店が向いています。 未経験者の場合は、商品数だけでなく、研修やコンプライアンス支援があるかも確認しましょう。

保険代理店フランチャイズは未経験者に向いていますか?

向いている場合があります。特に、保険業界の経験がなく、研修や営業ノウハウ、集客支援、顧客管理の仕組みを活用しながら始めたい人には検討しやすい選択肢です。 ただし、加盟金や固定費、手数料、サポート内容は会社によって異なります。

フランチャイズに加盟すれば安定して稼げますか?

必ず安定して稼げるとは限りません。 フランチャイズは研修や仕組みを活用できる一方、契約獲得、顧客対応、継続フォローは自分の活動に左右されます。 加盟前には、収入モデル、集客支援の内容、固定費、手数料、契約終了時の扱いまで確認しておきましょう。

まとめ:
保険代理店の将来性は「業界」だけでなく
「始め方」で差が出る

保険代理店の数は減っています。生命保険でも損害保険でも、代理店の減少はすでにデータに表れています。

ただし、保険ニーズそのものが消えているわけではありません。 生命保険の保有契約件数は増加しており、損害保険では代理店数が減る一方で扱保険料は増えています。 ただし、扱保険料は代理店収入そのものではないため、「代理店なら儲かる」と短絡的に考えるのは避けたほうがよいでしょう。

これからの保険代理店に求められるのは、商品を売る力だけではありません。 顧客の状況を聞き取り、必要な保障を整理し、複数の選択肢をわかりやすく伝え、契約後も長くフォローする力です。 オンライン対応やコンプライアンスも欠かせません。

未経験から始めるなら、「保険代理店は将来性があるか」だけで判断するのではなく、 自分はどの環境なら続けられるかを考えることが大切です。

参考資料

  • 一般社団法人 生命保険協会「生命保険の動向 2025年版」
  • 一般社団法人 日本損害保険協会「代理店実在数の推移」
  • 一般社団法人 日本損害保険協会「代理店実在数・扱保険料・募集従事者数の内訳の推移」
  • 公益財団法人 生命保険文化センター「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」
  • 金融庁「保険業法等の一部を改正する法律の概要」